昨年の冬、中国人の友人に会うため、北京に行きました。私は中国語はほとんど出来ず、英語も得意ではありません。友人が日本語が少し出来ること、英語が堪能なことを頼みに、一人で行きました。
海外は初めてではありませんでしたが、中国は初めてで一人旅も初めてだったので、とても不安でした。空港には、友人が迎えに来てくれていたので、その後は全て、友人に任せて、旅行を楽しむことが出来ました。
しかし、私が帰る日は、友人が仕事なので、前日の夜、ホテルのフロントの方に、『この人は中国語がわからないから、明日の朝、空港までのタクシーの手配をお願いします。』と伝えてもらいました。
翌朝、フロントに降りて、鍵を返し、料金を支払うと、フロントの方に英語で、タクシーの事を尋ねました。フロントは若い女性がいたのですが、昨夜の方から話が通っていないのか要領を得ません。支配人と思われる男性がやってきて、女性と話をすると、そちらには伝わっていたようで、外に案内されました。
ただ、タクシーを既に呼んでいた訳ではなく、ホテルに面した通りを走るタクシーを停めてくれるようです。その日の気温は氷点下でとても寒かったのですが、停めようとしてくれる支配人に悪いので、外で待機していました。
ダウンジャケットを着た40代くらいの人が支配人に話をしています。少し話した後、支配人はかぶりをふって、またタクシーを探しに行きました。
するとその男性がこちらに来て、何か話し出しました。私は中国語が出来ません。としか、言えなかったのですが、しつこく話しかけてきます。遠ざかって行ったので、諦めてくれたかなと思ったら、今度は英語で話しかけてきました。
私は英語も得意ではありませんが、少しはわかるので話してみると、『俺の車に乗らないか?』と言っているようです。要するに白タクです。相場より高い料金で無許可で、営業する人達です。だから支配人は拒否したのでしょう。男性はしつこく粘ってきましたが、明らかな拒否を示すと、ふてくされて、消えていきました。少し怖かったです。
その後、金額も話がついているタクシーを支配人が連れてきてくれたので、お礼を言って乗り込み、中国語はわからないと運転手に言いました。
問題なく空港に着いたのですが、私を下ろす気配がないので、少しならいいかと妥協して、チップを渡しました。すると運転手は、こちらに手を合わせて、急に元気になって荷物を運びだし、とても丁寧な応対で送り出してくれました。現金なヤツめと思いましたが、ちょっと可愛く思えました。