海外一人旅、貧乏旅行が好きな20代女性です。
接客関係の仕事をしているので、大型連休や週末は忙しい反面、有り難いことに世間の皆様が働いている時期に、まとめてお休みを取ることが出来ます。
そしてそんな時期、旅行業界はいわゆる閑散期なので、かなり安いお値段で航空券やホテルを予約出来ると知ってから、いかに安くケチな旅行をするかにハマってしまいました。
しかも大抵は友人と予定が合わないので、全て自分で手配し、気ままな一人旅がほとんどです。とはいえ、バックパッカーではありません。ドミトリーやホステルなど、知らない方々との相部屋には抵抗があるので、毎回必ずシングルの一番安い部屋を探して予約をします。
一人旅の気楽さが好きな反面小心者なので、少しでも危ないと感じたらすぐにその場を離れる安全志向を心掛けていました。
そんな私がずっと行きたかった土地、ヴェネツィアで予約したホテルは、一泊二千円の格安シングルルームでした。ヴェネツィアの島内で、交通アクセスも非常に良い場所です。
良いホテルが予約出来たと出発前から満足しており、ウキウキしながらチェックインを済ませました。古いホテルなので、部屋の鍵は昔ながらの鍵穴に差し込んで回すタイプの重たい鉄の鍵です。この時は趣があって良いな、なんて思っていましたが、いざ扉の鍵穴に差し込んでみたら、回りません。あれ、と思いそのままドアノブを引いてみると、鍵なんて最初からかかっていませんでした。驚いてフロントに戻り、拙い英語で鍵が壊れていると伝えたところ、「今日は満室だから代わりの部屋は用意できない」とあっさり言われていまいました。
汚いのも古いのも平気ですが、鍵がかからないのは流石に怖すぎます。シングルルームを取った意味がありません。
しかし私の英語力では、それ以上交渉することも出来ず…仕方なく覚悟を決めました。部屋に戻り、持って来たベルトとショルダーバックの紐をつなげ、ドアノブを横のデスクに結び付けました。お手製の鍵が完成です。
それだけでは不安なので、次は椅子やらテーブルやら、動かせるものを全部ドアの前に移動させてバリケードを築きました。気分はまるでサバイバルゲームの主人公でしたが、そこまでやっても不安で熟睡は出来ませんでした。鍵がかからないホテルなんて、聞いたことがありません。
ヴェネツィアは比較的安全で治安も良い観光地だったのですが、これが他のもっと危険な場所だったら…と考えるとぞっとします。幸いなことに翌日部屋を変えてもらい事なきを得たのですが、今後は安いだけでホテルを決めないようにしようと思いました。